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TERM-INAL

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1990年代・平成生まれのダンサーがまもなく30代を迎え、ストリートダンスシーンに面白い刺激を与えている。そんな中、HOUSEシーンで今勢いのある若手チームTERM-INALは、“DANECE DELIGHT優勝”という信念を貫くために集まった。絶妙な関係性と絆、シーンに仕掛けていく強気な思いが、いつも記憶に残るショーを生み出している。今後の彼らへの期待とエールを込めてお届けするインタビュー。

 


 

  • TERM-INAL

    photo by Shoko Hiraoka

    2000年代、TVプロダクトのHiphopや多様なダンスから影響を受けてきたTAIKI, Omichi, taihei, HIKARU。”TERM-INAL=行きつく先の地点—-” 。人々が未来に出会うべきハウスダンスを”現在”に提示し、体現していく思想がある。未来をつくり続けるハウスダンスチーム!!!
    クラブダンス、ストリートダンス、偉大な先人からの学びを独自性高いステップワークへと構築。勢いそのままにJAPAN DANCE DELIGHT、JUSTE DEBOUT、DANCE ALIVEといった世界大会で高い評価を獲得。

 


 

■それぞれのHOUSEとの出会い。

 

TDM:ダンスをはじめたきっかけは?

 

TAIHEI:僕は20歳まで遊びほうけていましたが、「何か一つ真剣に取り組まなくちゃ」と思い、形だけ入っていたダンスサークルで真剣にダンスをやるようになりました。まず、ダンスのHow To DVDを買ったんですが、そこにHOUSEの先生でKOJI(ALMA)さんが出ていて「かっこいい!」と思い、レッスンを探して通うようになりました。

 

Omichi:僕は高校生の時に野球部だったんですが、途中で辞めて何もしていない時期に、親から「近所にダンススタジオがあるから、合いそうだしやってみたら?」と言われて通うようになりました。最初はHIP HOPを習いましたが全然できなくて、辞めたいと思ったんですけど、大学のサークルでHOUSEをはじめたらすごく楽しくて、それからずっとHOUSE一筋です。

 

HIKARU:僕の姉がダンスを習っていて、流れで自分も小学校に入る頃に習うようになりました。だから、これと言ったきっかけはあまりなく、気づいたらここにいましたね(笑)。地元・平塚のSTUDIO BLACKNでHIP HOPを習って、HOUSEは専門学校に入ってから授業でHIRO(ALMA)さんとTATSUO(GLASS HOPPER)さんに習っていました。いろんなダンスをやりましたが、卒業する時に、HOUSEだな!と思って今までやり続けています。

 

TAIKI : 僕は平成元年生まれ、ふたご座A型、岐阜県出身で、大学で東京に出てきました。中学校の時にテレビで「スーパーチャンプル」を見ていて、ずっとストリートダンスが気になっていたんですが、はじめたのは大学のサークルからです。 サークルでHOUSEに出会いました。

 

TDM:4人中3人がサークルでHOUSEに出会うんですね。皆さんがいた頃のサークルの中でHOUSEは人気だったんですか?

 

Omichi : ジャンルとしては普通にありましたし、人気でしたね。僕のサークルは有り難いことにダンサーの方が教えに来てくださっていて、HOUSEはKATSUMI(PYRO)さんが教えに来てくれていました。

 

TAIHEI:僕のサークルではHOUSEの同期が3人しかいなくて、残念ながら僕の卒業後に無くなってしまいました。Omichiのサークルが羨ましいですね(笑)。

 

DANCE DELIGHTで勝つためのチーム。

 

TDM : TERM-INAL結成のきっかけは?

TAIKI : もともと、大学時代に学生限定のバトルに出ていてOmichiくんと知り合って、2人でチームをやっていました。

 

Omichi:僕は、大学時代にshu_hei(TOKYO FOOTWORKZ)さんナンバーでTAIKIさんと初めて一緒に踊りましたが、当時はTAIKIさんがバイトで忙しすぎて全然絡めませんでした(笑)。でも、大学4年生の2014年にHOUSE DANCE CROSSINGが初開催されて、そこでTAIKIくんに声を掛けてもらって若手8人のユニットで踊る機会があり、そこにはHIKARUとTAIHEIもいました。その後、同じメンツで1年くらい活動していたんですが、僕がTAIKIくんに「一緒にDANCE DELIGHT(以下、ディライト)に挑戦したい」と持ち掛けました。

 

TAIKI:ディライトに挑戦するなら2人は厳しいと思ったので、人数を増やそうという話になり、若手ユニットで一緒だったHIKARUとTAIHEIとKyoくんに声をかけ、ディライトで勝つためのチーム作りをしました。それが2015年の終わりくらいです。

 

TDM : TERM-INALという名前の由来は?

 

TAIKI : 一応、僕が発案したんですが、僕はOmichiとやる前にKyo、YAMATO、Jyojiと4人でSuper Beat Magicianzというとてもかっこいいチーム名(笑)でも活動していましたが、今回は、英語だけど覚えやすく、HOUSEチームなので爽やかな名前がいいと思いました。あとは、違う生い立ちの5人が一つの場所に集まってきたので、“ターミナル”と付けたような気がします。

 

TAIHEI:それぞれの踊りの印象も違っていて、電車に例えられるんです。Omichiは早いので“特急”、TAIKIさんは“準急”、HIKARUは“区間急行”、僕はゆったりなので“各駅停車”です(笑)。

 

TDM : 基本的な活動内容は?

 

TAIKI:基本的にはディライトを目指して組んだチームなので、それを軸に、結果につながるようなショーを組み立てています。過去3回出ましたが、ファイナリストまでいってもまだ入賞できてないので、今年もチャレンジです。

 

TDM : 心が折れそうになることは?

 

TAIHEI:時々折れそうになりますが、同時に全員が折れることはなくて、誰かが「頑張ろう!」と引っ張ってくれているような気がします。

 

■互いにないものを持ち合わせているチーム。

 

TDM:互いのことを紹介していいただけますか?

TAIHEI:まず、Omichiは僕にとって恋人です(笑)。大学から一緒にいるし、家も近いし個人的に遊びにも行くし、ある程度のことは「TAIHEIはそういう奴だしな」と受け入れてくれるので、もうラブラブです(笑)。自分への探求心が強くて、フィーリングが合います。TAIKIさんはアンテナの張り方がすごくて、新しいことややってないことへの挑戦や探求心がすごい。HIKARUは自分のスタンスを変えません。鉱山で例えると、Omichiは一つ手掛かりを見つけたらそこをひたすら掘り進める。TAIKIさんは広範囲で調べて効率的に掘っていく。HIKARUは「俺はあっちで掘ってみます。ダメならあっちで。」と自分の直感で掘るタイプですかね(笑)。

 

 

TAIKI : それぞれがないものを持ち合わせていると思います。TAIHEIは踊りも性格も僕にはない自由さと柔軟さがあります。アドリブも強い。Omichi君は、僕にはない自分を信じる力があります。僕はそんなに自信を持って自分を信じられないので、羨ましい。HIKARUはダンス力の大事な所を担ってくれています。他の3人では埋められないものを補ってくれるので、チームにとって重要な柱。4人でまとまるために必要不可欠な存在ですね。

 

HIKARU:僕は最初に3人のことをYouTubeで見ていた側で、その後に知り合いました。最初はTAIKIさんとはHIROさんを介して知り合って、その時は、バトルでも活躍していてちょっとクールで近づきがたいイメージでしたが、ちょっとずつ人間らしい部分が見えてきて、カリスマ性もあるし、いろいろなものを持っているけど、意外に普通な人なんだなと思いました(笑)。練習会に呼んでもらったり、いろんな人を紹介してくれたり、たまに遅刻するけど(笑)、一番距離を近づけてくれたいい先輩です。TAIHEIさんは空気を読んだり、チームのことを気にしたりしてバランスをとってくれています。後輩の面倒見がよく、フレンドリーで相談もしやすいです。Omichiさんはしっかりしていて、僕は細かいタイプで大雑把にできないんですが、そういう面でも一番近い考えを持っていて、相性がいいです。あと、チームの中で一番男気があります。つまり、みんないい人たちです(笑)。

 

Omichi:HIKARUは年下ですが、リハーサルの場所を決めてくれたり、しっかりしていて細かいので頼りにしています。あとは、映像を作れるので、リハ中に僕らのオフショットを撮影して、深夜練明けなのに、いつのまにか字幕入りのかっこいい動画を作ってSNSにアップしていることもあります(笑)。でも、それを見たいと言ってくれる人も多くて、チームのプロモーション担当になってくれているので、その恩恵は受けていると思います。TAIKIくんは、チームが迷った時に、「こっちの方がいいよ」と必ず決めてくれます。アンテナを広く張ってくれているので、比較した上で選ぶべきものを決めてくれます。僕は変な方向に突き進みがちなんですけど、その方が僕が生き生きすることを知ってくれていて、それを否定しないでいてくれるので有り難いです(笑)。TAIHEIは僕と好きなものが真逆。だからこそずっと仲良くできていると思います。考え方も真逆なので「そういう意見もあるのか!」と新しい視点に気づかせてくれて、勉強になることも多いです。あとは、悔しいこととか愚痴を聞いてくれます。ただ単に過ごしている時間が長いからではなくて、互いにいてよかったと思います。

 

TDM : 仲がよさそうですが、今までにチームの危機などはありましたか?

 

TAIKI: Kyo君が辞めた時ですかね。Kyo君の就職を機に、「ディライトを目指すチーム活動と合わないから自分は抜けた方がいいと思う」と。その時に、残った4人で改めて目標に向き合い、ディライトの予選を突破できるようになったので、僕らもあの危機のおかげで成長することができました。

 

 

狭間の世代。自分たちのベーシックを確立しないと勝てない。

 

 

TDM :ちょうど皆さんの世代が、10代から50代まで交流があると思うんですが、シーンを見ていて何か感じるものはありますか?

 

TAIKI:確かにちょうど狭間の世代かもしれません。先輩方はいわゆるベーシックを根付かせた世代。その世代のたちに勝つには自分たちのベーシックを確立しないと勝てないんだろうなとバトルに出ながら思っていました。後輩たちは、キッズの時からHOUSEをやっていた子たちが今20歳前後になってきて、HOUSEを頑張っている子が増えた気がしますね。

 

TAIHEI:でも、YouTubeなど映像を見過ぎて、イベントに足を運ばないからなのか、個人的には、誰かに当てはまるようなスタイルになっている若い子もいるなと感じます。逆に言えば、そこから脱却してオリジナルになっていく前段階な人が多いのかなと。僕もKOJIさんの真似から入って、キッズからやっている人より遅くはじめたので、どうすれば彼らに勝てるのかを考えながら、コミュニティを築いて自分のやり方を見つけてきたので、若い人たちも頑張って欲しいですね。僕らはラッキーなことに海外や日本のオリジネーターの真似をしつつ、そこから努力して自分たちらしさを見つけられたのかなと思います。

 

TDM : そんな狭間世代の自分たちの強み、特徴は何だと思いますか?

 

TAIKI : 面白い組み合わせのステップを入れたいと意識しています。既存のステップを少しひねったものなんですけど、今までありそうでなかった使い方をしていて、「これはHOUSEなのか?」って思われそうなギリギリセーフな所を狙っていますね。最近、僕らの編み出した“TERMINALステップ”をやっている人たちを見ることがあって、結構根付いてるのかなと思うと、単純に嬉しいです(笑)。

 

■理想の生き方。それぞれのダンス

 

TDM :人生の中でダンスをメインとして生きていこうと思ったきっかけがありましたか?

 

TAIKI : 最初はありませんでした。ただ、自分がサラリーマンになるイメージがわかなかったから、今やっているダンスを続けようと思った感覚です。

 

HIKARU :専門学校卒業の時、HIRO(ALMA)さんに拾って頂けて、その期待に応えたいと思ったのが1番のキッカケです。

 

TAIHEI何か真剣に取り組もうと決めてダンスをはじめ、HOUSEを選んだ時に自分の心の中でこれをメインにして生きていこうと決めていました。今考えるとダンスをはじめたばかりでよくそんなことを考えてたなって思います(笑)。

 

TDM : ダンサーとしての理想の生き方は?

 

TAIKI: 僕にとってはダンスで稼ぐということとチームをやることは別です。稼ぐのは生きるための手段だし、ダンスは続けたいからやっているけど、チームは自分のプライドの塊です。

 

Omichi:僕も、ただ‟いいダンス“をしていきたいですね。それは、もしディライトで優勝できても変わらないと思います。バトルに出る時は、優勝よりも、一番いいダンスをして、何か爪痕を残したいという意識があります。そういうダンスは優勝してもしなくても印象に残ると思うので、その気持ちを大切にしていきながら、どんどん自分の世界を表現していきたいです。

 

HIKARU :僕は、ダンスに限らず、クリエイティブな人間になりたいと思っています。プレーヤーとして動くのはもちろん、ダンスから派生して動くことも、映像作品やイベント制作など、ダンス以外の仕事もいろいろやっています。自分がプレーヤーだからこそ動けること、できることがあると思っていて、僕はダンスだけが生活の中心にあるというよりは、自分の生活の一部にダンスがあって。ダンスじゃないこともいっぱいしたいんです。ダンスをメインに置きながら、ダンサーとしても活躍して、そしてダンスをしていない普通の自分も一つ残していたいですね。

 

TAIHEIお金を稼ぐツールとしてのダンスと、自分のカッコイイを探求するダンスを分けられるようになることが今後の目標と理想です。

 

TDM:最後に、これからの展望を教えてください。

 

TAIHEI:各個人の目標はそれぞれありますが、チームとしてはやっぱりディライト、優勝です!

 

TDM:では、次はディライト優勝時にインタビューさせて頂いて、次の目標を聞かせてください!今日はありがとうございました!

 

interview by AKIKO
photo & edit by imu

’18/10/30 UPDATE

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tokyodancemagazine

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